外国人留学生の声から学ぶ!日本の住まい探しのリアル
2025.11.28

日本で学ぶ外国人留学生にとって、住まい探しは大きなチャレンジのひとつです。言語の壁や保証人の問題、そもそもの住環境の違いなど、初めての国で生活を始める際には多くのハードルが待ち受けています。大学や専門学校を運営する立場、留学生向け賃貸を提供する大家や不動産業者、そして実際に留学を考える学生本人にとって、こうした問題を解消するための具体的な情報やサポート体制づくりは欠かせません。
そこで本記事では、「外国人留学生の声」をもとにしたアンケート結果や公的機関の調査結果を交えながら、外国人留学生が日本で住まいを探すうえで抱える課題・ニーズを掘り下げていきます。そして、大学や不動産業者、大家がどのように対応すれば留学生の住まい探しを円滑化できるのか、そのヒントを探ります。
日本で住まいを探す外国人留学生の現状
留学生の入居率が高い地域・物件の傾向
外国人留学生の多くは、都市部を中心に大学や日本語学校、専門学校などに通います。そのため、大学が集中する東京や大阪、名古屋、福岡といった大都市圏では留学生の姿をよく見かけます。家賃相場が高いエリアであっても、大学から近い物件や主要駅にアクセスしやすい物件に人気が集まる傾向があります。さらに、地方都市でも大規模大学の近隣は留学生が比較的多く住む傾向にあります。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「外国人入居者の実態調査」によれば、外国人入居者の地域分布は大都市圏に偏りが見られ、特に大学周辺の物件では外国人比率が高いと報告されています。これは、大学周辺が留学生の学習環境に直結するほか、日常生活においても周囲に同郷の学生や留学生コミュニティがあると安心できるためと推察されます。
出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「III_外国人入居者の実態調査」(https://www.jpm.jp/foreign//download.php?key=factsurvey03)
日本の学生マンションと海外の住環境の違い
海外では、大学が所有または提携している学生寮に留学生が入居しやすい国が多い一方、日本は民間の学生マンションや賃貸住宅への入居が一般的です。部屋の広さや設備の規格が異なること、契約における独特のシステム(礼金や敷金など)も含め、留学生にとって初めて触れるルールが多々あります。
とりわけ、礼金は外国人留学生にとって理解しづらい慣習です。「部屋を借りるのに、なぜ返ってこないお金を支払う必要があるのか」という疑問がよく挙げられます。また、家具・家電がついていない物件が多いことにも戸惑う留学生がいます。渡航直後からすべてを買い揃えるのは出費がかさみ、留学生の負担になるケースも珍しくありません。
住まい探しで困ったこと:アンケートから見る課題
日本学生支援機構の調査では、外国人留学生が住まい探しをする際に感じる主な困難として、以下のような項目が挙げられています。
- 保証人の問題
- 言語の壁(契約の書類が日本語のみなど)
- 生活習慣や文化の違いによるトラブル
- 家賃の高さや費用負担
これらの問題は、本人の努力だけでは解決が難しいことが多く、大学や不動産会社、大家の協力が欠かせません。
出典:日本学生支援機構「日本国内における外国人留学生の民間宿舎の現状やその選択」(https://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2021/02/18/201609kangoginokasa.pdf
外国人留学生が住まい選びで重視するポイント
1.家賃の安さ・契約条件(保証人不要物件の需要)
日本の一般的な学生にとっても家賃は大きな負担ですが、外国人留学生にとっては母国からの仕送りやアルバイト収入に依存するケースが多く、よりシビアな問題となります。日本の家賃相場は世界的に見ても決して安価ではなく、特に都市部は高額となりがちです。そのため、できるだけ家賃を抑えたいというニーズは非常に強いといえます。
また、保証人問題も外国人留学生にとって切実です。家族や親族が日本にいない留学生は保証人を立てることが難しく、物件選びの段階で断念せざるを得ないケースもあります。最近は、大学が保証人代行を行う制度や、保証会社を利用するケースも増えていますが、「保証人不要」や「大学が提携する保証人システム付き」の物件は依然としてニーズが高いです。
2.交通アクセスの良さ(大学・駅への距離)
毎日通学するうえで、大学の近さや主要駅へのアクセスの良さは最重要ポイントの一つです。留学生の多くはアルバイトをする可能性が高く、大学だけでなく職場へのアクセスも考慮に入れる必要があります。電車やバスが時間通りに来る日本の交通網は高く評価される一方、通学定期代が高額になる場合や、夜間に交通手段が少ない地域では不便を感じる留学生もいます。
3.家具・家電付き物件の人気
海外では、留学生向けに家具や家電が備え付けられた物件が一般的な国も多く、日本特有の「家具・家電なしが主流」な文化は大きなギャップを生みます。日本に渡航してすぐの留学生は、大型家具や家電を購入する資金的な余裕がないことや、引っ越しの多さ(卒業後に帰国、あるいは就職先への移動など)を考えると、持ち物を増やしたくないという心理があります。そのため、家具・家電付き物件は非常に魅力的に映ります。
4.セキュリティ・治安面への不安
日本は世界的に見ても治安が良いとされますが、それでも夜間の人通りが少ない地域や、オートロックのない物件に対して不安を抱く留学生は少なくありません。特に女性留学生の場合、防犯面を重視して物件を選ぶケースが増えています。また、外国人であることを理由に偏見や差別を受けるのではないかという不安を持つ留学生もおり、物件選びの際には周辺環境の情報収集が重要になります。
外国人留学生の住まい探しでよくあるトラブルと解決策
1.言語の壁(契約書が日本語のみ、大家とのコミュニケーション)
契約書類や重要事項説明がすべて日本語で行われる場合、留学生が内容を正確に理解できずトラブルが発生することがあります。日常会話ができるレベルの日本語能力があっても、法律や契約に関する専門用語を理解するのは難しいものです。結果として、違約金や更新手続きのルールなどを把握できず、後でトラブルに発展するケースが見られます。
解決策
- 大学や自治体による多言語の契約ガイドラインの提供
- 不動産会社の外国語対応スタッフの配置
- オンラインでの通訳サービスや翻訳ツールの活用
日本学生支援機構の調査でも「契約に関する説明不足」や「専門用語の理解不足」が大きなストレス要因であると報告されています。
出典:日本学生支援機構「日本国内における外国人留学生の民間宿舎の現状やその選択」(https://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2016/__icsFiles/afieldfile/2021/02/18/201609kangoginokasa.pdf)
2.保証人の問題(保証人がいないため契約が難しいケース)
前述のように、日本で一般的な賃貸契約には保証人が必要ですが、留学生が日本国内に保証人を用意できるケースは限られています。さらに、留学生を保証人に持つことを嫌がる日本人の親戚・知人もおり、結果として物件探しのハードルが非常に高くなることがあります。
解決策
- 大学や自治体が保証人代行を行う制度の整備
- 保証会社の利用を前提とした物件選び
- 「保証人不要」物件の拡大を促す政策や不動産業界の取り組み
大学が保証人になる制度を導入しているところも増えており、実際にこうした制度を活用することで留学生の入居率が高まった事例があります
出典:菊地吉信『大学における外国人留学生の住まい確保の現状』https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/28/70/28_1488/_article/-char/ja/
3.文化の違いによるルールの誤解(ゴミ出しルール、騒音トラブル)
日本独特のゴミ出しルールや生活音に関するマナーを知らずにトラブルになるケースも少なくありません。深夜まで友人と騒いでしまったり、指定の日以外にゴミを出してしまったりといった行動が、大家や近隣住民との摩擦を生む要因になります。
解決策
- 入居時に多言語での生活ルール案内書を配布
- 留学生同士や日本人学生との交流イベントで生活マナーを共有
- 大学・自治体と連携し、地域住民も交えたコミュニケーション促進
事前に日本の文化や地域のルールを学んでおけば、誤解やトラブルを大幅に減らすことができます。こうした情報提供は、大学側がオリエンテーションの一環として行う事例が増えています。
留学生受け入れに積極的な大家・大学の取り組み
1.大学生協と連携した留学生向け住居の紹介
大学生協が留学生向けの物件情報をまとめたり、契約手続きのサポートを行ったりするケースが増えています。大学生協が間に入ることで、家賃相場の調整や保証人問題の解決など、留学生にとって負担となる部分を軽減できます。さらに、大学生協は学内に窓口を設置しているため、留学生にとって相談しやすい体制が整いやすいのも利点です。
2.保証人不要物件の増加、大学が保証人になってくれる制度
一部の大学では、留学生センターや国際交流センターが保証人代行を引き受ける仕組みを整えています。さらに、不動産会社や保証会社と提携した形で「保証人不要」物件を拡大する試みも行われています。こうした動きは「外国人留学生を積極的に受け入れる姿勢」の表れでもあり、実際に留学生の物件探しを大きくサポートすることにつながっています。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査でも、外国人向け物件を扱う管理会社が年々増加傾向にあると報告されています。特に、家賃の滞納や契約トラブルを防ぐための仕組み(保証会社との連携など)が整った物件ほど、安心して留学生を受け入れることが可能となります。
出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「III_外国人入居者の実態調査」(https://www.jpm.jp/foreign//download.php?key=factsurvey03)
3.外国人向けサポート窓口の設置(契約時の通訳サービスなど)
大学や自治体、不動産会社の中には、外国語対応のサポート窓口を設けるところがあります。主に英語や中国語、韓国語などが中心ですが、多言語化の取り組みも徐々に進んでいます。契約時に通訳者が同席し、専門用語の説明を行ったり、入居後のトラブルに対応したりすることで、スムーズなコミュニケーションと早期解決が期待できます。
さらに、地域の国際交流協会やNPO、ボランティア団体とも連携し、多言語対応サービスを提供する事例も見られます。こうした取り組みによって、留学生が安心して暮らせる環境づくりが進むだけでなく、大家や不動産業者にとっても安定的な入居とトラブル回避を実現するメリットがあります。
まとめ
外国人留学生が日本で住まいを探す際には、言語の壁や保証人の問題、生活習慣の違いなど、多くの課題が存在します。しかし、これらの課題は大学や不動産業者、大家が連携し、適切なサポートを提供することで大きく軽減することができます。アンケート結果から見えてくるように、留学生は家賃の負担や保証人不要物件のニーズ、家具・家電付き物件の需要、そして安心して暮らせる環境を強く求めています。
一方で、留学生の受け入れに積極的な大学や大家の事例からは、具体的な成功のポイントが示されています。大学生協による物件紹介や保証人代行制度、多言語サポート窓口の設置など、留学生に寄り添った取り組みを行うことで、留学生の住まい探しのハードルは大幅に下がります。結果的に、留学生にとっては安全・安心な生活環境が得られ、大家や不動産業者にとっても長期的かつ安定的な入居者の確保につながるのです。
留学生が抱える住まい探しへの不安をゼロに近づけ、充実した学びと生活を送れるようにするためには、留学生の視点を理解し、受け入れ側が柔軟に体制を整えることが欠かせません。今後も国際化が進む中で、留学生の住まい探しのニーズをしっかりと把握し、それに合った物件やサポートを提供できるかどうかが、大学や地域の国際競争力を左右するでしょう。さらなる留学生の受け入れ拡大と学びの充実を目指すうえで、住まい探しの改善は重要な鍵となるのです。
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